グローバル・コミュニケーション学入門

著者名
中西 のりこ・仁科 恭徳 編著
判型
A5
ページ数
176頁
ISBN
978-4-385-36416-2

「誰に,どんな情報を,どう伝えるのか」「誰が発信した,どんな情報を,どう受け取るのか」を,絵文字,都市デザイン,ホスピタリティ,心理学,ロボット・AI等,全12章から考える。内容理解のための「アクティビティ」,応用課題「レッツトライ!」付き。

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目次

はじめに 3

第1 章 グローバル・コミュニケーションとは?  ─── 8
1. 1. はじめに/1. 2.「グローバル」とは?/1. 3. 「コミュニケーション」とは?/1. 4. グローバル・コミュニケーションにおける「ノイズ」とは?/1. 5. まとめ

第2章 色彩  ─── 16
12. 1. はじめに/2. 2. 人の印象とは何か?/2. 3. 見た目が重要?/2. 4. 色彩を科学する/2. 5. 色のイメージと効果/2. 6. まとめ

第3章 絵文字  ─── 28
13. 1. はじめに/3. 2. サイバースペースでのサイン、シンボル/3. 3. 絵文字と漫画の表現力/3. 4. まとめ

第4章 都市デザイン  ─── 42
14. 1. はじめに/4. 2. 都市デザインとは?/4. 3. 地域間競争/4. 4. 住民の役割/4. 5. まとめ

第5章 マーケティング  ─── 54
15. 1. はじめに/5. 2. マーケティングにおけるコミュニケーション/5. 3. インターネット時代のマーケティング/5. 4. マーケティングのグローバル化/5. 5. まとめ

第6章 メタ認知  ─── 68
16. 1. はじめに/6. 2. ホスピタリティに必要なメタ認知的知識/6. 3. ホスピタリティに必要なメタ認知的活動/6. 4. まとめ

第7章 ホスピタリティ  ─── 80
17. 1. はじめに/7. 2. ホスピタリティとは?/7. 3. 第一印象の重要性/7. 4. 身だしなみ/7. 5. 挨拶/7. 6. 表情/7. 7. 言葉遣い/7. 8. 立ち居振る舞い/7. 9. サービスとは?/7. 10.ホスピタリティとサービスについて/7. 11.ホスピタリティとサービスマインドを磨く/7. 12.まとめ

第8章 心理学  ─── 94
18. 1. はじめに/8. 2. 文化と言語の起源:ヒトは共有することで話すことを学んだ?/8. 3. 言語と認識:ヒトが考えるとはどういうことか/8. 4. 意味と言葉の関係ネットワークの拡張とグローバル・コミュニケーション/8. 5. 限りなく拡張する認知としてのグローバル・コミュニケーション/8. 6. まとめ

第9章 音声 108
19. 1. はじめに/9. 2. ネイティブ・スピーカーモデル/9. 3. 通じる英語モデル/9. 4. 日本語英語モデル/9. 5. まとめ

第10章 ジャンル  ─── 122
110. 1. はじめに/10. 2. ジャンルごとの特徴:情報の順番とヒント表現/10. 3. ジャンルとESP/10. 4. ジャンル研究の近年の動向/10. 5. まとめ
第11章 多文化共生  ─── 138

111. 1. はじめに/11. 2. 多文化共生が目指すもの:コミュニティーと第3の文化/11. 3. 多文化共生を主眼に置いたグローバル・コミュニケーションの実際/11. 4. 多文化共生を目指す皆さんへの提言/11. 5. まとめ

第12章 ロボット・AI  ─── 150
112. 1. はじめに/12. 2. 人とコンピュータのコミュニケーション/12. 3. メディアを介した人と人のコミュニケーション/12. 4. ロボット、AI とは/12. 5. ロボット・AI とのコミュニケーション/12. 6. ロボット・AI を介した人と人のコミュニケーション/12. 7. まとめ

あとがき 160
主要参考文献 162
主要索引 171
執筆者一覧 174

はじめに

  皆さんは、「グローバル・コミュニケーション学」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? 法学や薬学、物理学、経営学、文学など、歴史ある学問分野とは違って、名称が横文字で構成されるこの新興分野に、正直、馴染みがないかもしれません。

 認識論(Epistemology) においては、学問分野の成立基準は、大学などの公的な学術機関によって学部名や機関名として採択されているかどうかにあるという考えがあります。「グローバル・コミュニケーション」という言葉は、国内外の大学で最近学部・機関名として採用されつつありますが、学問分野としては新進気鋭の分野でもあります。

 それでは、グローバル・コミュニケーション学とは一体どのような学問なのでしょうか。世界で活躍するグローバル人材の育成は、日本国家の急務の課題となっています。文部科学省のはたらきかけもあり、英語教育が小学校に導入され、英語の授業は英語で行うAll in English が学校教育で当たり前となりました。しかしながら、このような政策や活動は、あくまで言語面のみにフォーカスを置いており、真のグローバル人材の育成には+αの教育が必要であることは、専門家の間でも共通の見解ではないかと思います。つまり、言語のみならず、文化、慣習、知識、ふるまいなどを総合した+αな人間力の獲得こそが、グローバル人材育成に不可欠であると言えます。

外国語教育など言語コミュニケーションの側面においては、日本の教育現場では教育手法、設備環境、テスト・教材開発、教育指導、ALT(Assistant Language Teacher 外国語補助教員)の導入など、多大な努力がなされてきました。一方、ノン・バーバル(非言語系)な側面においては、まだまだと言ってよいでしょう。例えば、英語圏に行けば、キリスト教徒であろうがなかろうが、普段の会話で聖書の知識が求められることが多々あります。母国の歴史や文化を詳しく聞かれることもあります。テーブルマナーや国際プロトコルは当たり前のように身につけていなければなりません。日常会話の中では、クラシック音楽や絵画の話題が出てくることもあります。また、会話のやりとり(いわゆるTurntaking)の方法、議論の構築順序、ジェスチャーの使い方など、コミュニケーション時の多くの手法や作法は、日本(語)と外国(語)で大きく異なります。

 このようなことをすべて学べる学問があれば、なんて素晴らしいのでしょうか。それこそが、「グローバル・コミュニケーション学」であり、世界に羽ばたく人材を育てるために必要不可欠な学問と言えましょう。グローバル・コミュニケーション学は学際的な分野でもあります。本書では、国内外の多彩な研究者が、各研究分野からグローバル・コミュニケーション(学) とは何かを、わかりやすい口調で説いていきます。

 本書は全12 章で構成されています。グローバル・コミュニケーションを構成する非言語系領域と言語系領域の様々な分野をバランスよく取り上げています。色彩、絵文字、都市デザイン、マーケティング、メタ認知、ホスピタリティ、心理学、音声、ジャンル、多文化共生、ロボット・AI など多種多様です。また、できる限り、初学者にもわかりやすい講義形式の口調で解説を心がけました。各章では簡単な「アクティビティ」をいくつか用意していますので、内容の理解や確認にご活用ください。また、学んだ知識を活用し応用するための課題「レッツトライ!」も各章末に用意しています。

 それでは、本書が、皆さんのグローバル的視野を広げ、真のグローバル人材の育成に一役買うことを執筆者一同、願っております。最後に本書の執筆にご尽力頂いた先生方、ならびに三省堂の飛鳥勝幸さまには本当にお世話になりました。ここに感謝申し上げます。

2018 年3 月末日
編著者

執筆者・編著者紹介

*五十音順
<執筆者紹介>
東 淳一(あずま じゅんいち)
神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部教授
担当:第3章 絵文字

今泉 景子(いまいずみ けいこ)
名古屋外国語大学現代国際学部准教授
担当:第7章 ホスピタリティ

上野 美咲(うえの みさき)
和歌山大学経済学部特任助教(2017年10月現在)
担当:第4章 都市デザイン

大須賀 美恵子(おおすが みえこ)
大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部教授
担当:第12章 ロボット・AI

表谷 純子(おもてだに じゅんこ)
神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部准教授
担当:第6章 メタ認知

桐村 亮(きりむら りょう)
立命館大学経済学部准教授
担当:第5章 マーケティング

KRIEG Alexander(クリーグ アレクザンダー)
ハワイ大学大学院心理学部博士課程
担当:第8章 心理学

KRIEG 波奈(クリーグ はな)
東京大学大学院教育学研究科修士課程(2017年3月現在)
担当:第8章 心理学

三宮 真智子(さんのみや まちこ)
大阪大学大学院人間科学研究科教授
担当:第6章 メタ認知

中嶋 アンディー 史人(なかじま アンディー ふみひと)
ホープカレッジ外国語学部准教授
担当:第11章 多文化共生

中西 のりこ(なかにし のりこ)
→編著者
担当: はじめに/第1章 グローバル・コミュニケーションとは?/第9章 音声

仁科 恭徳(にしな やすのり)
→編著者
担当:はじめに/第2章 色彩/あとがき

野口 ジュディー 津多江(のぐち ジュディー つたえ)
神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部名誉教授
担当: 第1章 グローバル・コミュニケーションとは?/第10章 ジャンル

<編著者紹介>
中西 のりこ(なかにし のりこ)
神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部教授
主要著書に『ホスピタリティ・コミュニケーション-実践形式で学ぶおもてなし英語』(三修社、2018 共著)、『TOEIC® L&R TEST ベーシックアプローチ』(三修社、2017 共著)、『応用言語学の最前線』(金星堂、2017 共著)、『 英語シャドーイング練習帳』(コスモピア、2012 共著)など、雑誌連載に「多聴多読マガジン」(コスモピア)などがある。

仁科 恭徳(にしな やすのり)
神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部准教授
主要著書に『ホスピタリティ・コミュニケーション-実践形式で学ぶおもてなし英語』(三修社、2018 共著)、『TOEIC® L&R TEST ベーシックアプローチ』(三修社、2017 共著)、『応用言語学の最前線』(金星堂、2017 共著)など
主要論文に「Current Trends in Corpus Linguistics: Voices from Britain、A Study of ADJ PREP N Patterns in Two Soft-Applied disciplines」などがある。


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  • 2018年05月30日発行
  • 定価 2,530 (本体2300+税10%)
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